-おれたちの就職活動

 おれたちは就職することになった。急遽決まったことで、いろいろと大変だった。4月からの就職を目指して活動を開始したのが7月下旬。本格的に活動がはじまったのは8月上旬だった。必死だったけど、今振り返ると本当に大変だった。でも、その経験を通していろいろなことがわかった。体験を通して、これから就職活動を控えているおれたちに少しでも助言ができればと思う。
 今日は服装に関して。この時期就職活動用のスーツとか売り出しているのを目にする。でも、おれたちには当然そんなスーツを準備するお金も気持ち的な余裕もなかった。そこで、一着しかない紺のスーツを着て活動していた。夏だったけど、夏用ではなかったので厚かった。さすがに上着は着ていかないとだなと思っていたので、会社につくまではワイシャツで袖をまくって汗をかきながらいって、会社に入る直前で上着を着るというおれたちのスタイルが確立された。
 就職活動用のスーツではないけど、一見普通なので大丈夫だろうと思っていたおれたち。しかしそこには大きな落とし穴が隠されていた。ようやく活動に慣れてきた8月中旬。そのころは午前と午後、別のところにいくということが当たり前になっていてスケジュールがパツンパッツンだった。そんなある日、疲れきった体で家に帰ってスーツをぬいでリラックスしようとしたとき、衝撃が走った。穴があいている、スーツに。しかもズボンに。しかもお尻に。おれたちのお尻に穴が・・・いや、スーツのズボンのお尻のところに穴があいていた。パンツが丸見えだったことに気づかなかったぱっつんぱっつんのおれたちだった。
 しかし、気付いたところで他のスーツを準備する余裕も修復する技術も時間もなかった。だから、やむを得ずそのスーツで活動を続けた。最終面接も受けた。そんな中で、2つの会社から内定をもらった。
 この就職活動を通して、スーツのずぼんのお尻のところに穴があいていても大丈夫だということがわかった。