-おれたちのtotoと格闘する店員の話

おれたちは必死だ。totoがスタートして、4年目になると思われる。しかし、恥ずかしいことにおれたちはまだ一度も当選の味を知らない。3等くらい当たってもいい気がするのに、一度もない。惜しいことは何度もあった。地道に頑張ったおれたちに、totoから4万円ほどお小遣いをもらったから頑張る責任もある。でも4万と言えば、おそらく投資した金額くらいな気がする。結構もらったな、と思う。とにかく、おれたちは早く当選してみたい。
ということで、今シーズンからtotoゴールで挑戦しているおれたち。当選確率が高いというのが何より魅力。当選金額をみると1等でも10万円前後ということで、1億を目指しているおれたちにとっては小さい額かもしれない。しかしおれたちは一歩ずつ大人の階段をのぼっていこうと思う。
いつものコンビニでtotoを購入しようとした。結構面倒で、端末のタッチパネルでおれたちの予想を入力して、銀行のカードを読ませて引き落とし。それで終わりならいいけど、決済はレジでやらないといけない。
慣れている店員ならいいけど、新顔は大抵失敗する。今日は見たことのない店員に当たってしまった。toto購入のレシートみたいなのを渡すと、とりあえずレジでピッピピッピやって、おどおどしながらバーコードを読みとる。そこまではすこぶる快調だった。しかし、読みとると「ピー」という長い音が止まらない。それは、いつものことだった。おれたちはその音に慣れていた。しかし、店員は明らかにテンパッていた。レジの「C」ボタン(おそらくクリア)を連打して、なんとか音が止まった。すると、レシートのようなものが2枚。それは、正しい操作だとおれたちは知っていた。しかし店員の顔は正しくなかった。完全にテンパッていた。顔色から心の内を読むなら、「やばい、これはまぢでやばい。おれはやってはいけないミスをしてしまった。これ、まぢでどうしたらいいんだろ。いや、これはまぢでやばいぞ」という感じだった。キョロキョロ周りを見る。先輩が隣でレジを打ってるけど、客がいっぱい。やばいと思った店員は、何を思ったか再びtotoのバーコードを読み込み始めた。するとすぐにレシートが出て来て、「現在処理中のため、読み込めません」と表示されていた。店員はすこぶるテンパッていて、そのレシートの文字を読むこともできなかった。その作業を5回くらい繰り返した頃には、おれたちのtotoの投票は完了し、確認シートのようなものが後ろに出て来ていた。それにも気付かずに、もうこれはダメだと思った店員は、「少々お待ちください」とだけ言い残し、消えていった。すべての状況をわかっているおれたちだったので、「いや、もう出てます…」と言いかけたときには、店員はいなかった。店長らしき人物が出て来て、大量のレシートたちを見て、「申し訳ありません」と一言だけ。そしてすぐに確認シートを渡してくれた。なんだか、おれたちが申し訳ない気持ちになってしまった。
こんな時は、なんかtotoが当たりそうな気がするよ、兄さん。