-エレベーターとおれたち

おれたちの研究室は7階にある。一人でエレベーターに乗るときはでかい鏡を使って変な顔の練習ができる。しかし、誰かと一緒になるとなんかきまづい。今日は全然知らない人と一緒になった。女性と二人になると、妙にきまづかったりする。痴漢を警戒しているのかわからないけど、背中を向けず、あえてこちらに顔を向けてくることがある。まあ、その気持ちがわからなくもない。今日は違った。
髭をはやした不潔な感じのもさもっさな男と一緒になった。おれたちはいつもとおり扉の方を向いていたが、一緒になった男はおれたちの方をじーっと見てきた。女性と一緒になったときとはまったく違う種類の緊張感が走った。おれたちは、恐怖さえ感じた。その男は6階で降りていったけど、短いはずの時間がとても長く感じられた。これからは階段を使おうかな。